長野県小諸市で、鹿肉を使ったペットフードを手がける「合同会社生物資源利活用研究所」を訪ねました。
ここで作られているのは、単なるジビエ商品ではなく、地域の課題と正面から向き合う中で生まれた大切なものです。
日本ではニホンジカによる農作物被害や生態系への影響が深刻化し、年間約60万頭が捕獲されています。
しかし、その多くは十分に活用されず、廃棄されているのが現状です。
人の都合で奪った命を、このまま「ゴミ」として扱ってよいのか。
その問いに対し、「資源として生かす」という選択から、この取り組みは始まりました。
研究者が現場に入った理由
代表の竹下毅さんは、もともと北海道大学などで野生動物の研究者をされていました。
小諸では鹿が増え続ける一方で、猟師は減り、被害は広がっていました。
「50年前と比べて、猟師は5分の1です」
この状況を受け、小諸市は行政主導で捕獲を担う「ガバメントハンター」という仕組みを導入します。
竹下さんはその第1号として小諸市の要請を受けて移住し、現場に入ることになりました。
その結果、捕獲数は年間50頭から300頭へと増加しましたが、同時に「処分」という新たな課題が浮かび上がります。
「捨てるしかない」を変える
駆除された鹿は、それまで多くがゴミとして廃棄され、処分費用が予算を圧迫していました。
そこで竹下さんは、鹿を“すべて使う”仕組みをつくります。
解体施設を整備し、肉はペットフードへ、皮は革製品へと活用していきます。
この取り組みは単なる商品づくりではなく、鳥獣対策を支える仕組みそのものです。
商品が売れることで、捕獲に関わる人たちの収入にもつながり、地域の中で循環が生まれています。
品質と「美味しさ」をどうつくるか
鹿肉のペットフードはすでに多くありますが、この商品が大切にしているのは「背景の見える品質」です。
適切な処理と衛生管理に加え、獣医学の専門家と共同で開発されています。
行政、研究者、そして現場。産・官・学がそれぞれの立場から関わることで、安心してペットに与えられる高品質が支えられています。
竹下さんのご家族も獣医師として関わっていると伺い、この取り組みが生活と地続きであることも印象的でした。
そしてもう一つ感じたのは、「とにかく美味しそうであること」です。
袋を開けたときの香りや質感には、思わず手に取りたくなる力があります。
さらに高級感のあるパッケージデザインなども竹下さんが手がけており、インテリアを損なわない美しさがあります。
機能性だけでなく、手に取るときの気持ちまで丁寧に設計されていることが伝わってきました。
愛犬と暮らす人の視点から
取材に訪れたシナのモノがたりのスタッフは、皆が愛犬家です。
鹿アキレスのガムやレトルトパウチのごはんをお土産に持ち帰りました。
その中で、東北で東日本大震災を経験したスタッフの言葉が印象に残りました。
「避難した体育館には犬を連れて入れませんでした。インフラも止まり、自分の食事も犬のごはんも手に入らなくて、本当に困りました」
「これが1週間分くらいあれば、どれだけ安心できるかと思います」
日常では少し良いごはんとして。
そして、いざというときには命を支える備えとして。
この商品には、その両方の役割があります。
保存性が高く、すぐに与えられるレトルトは、防災の観点からも選ばれています。
命と向き合い続ける仕事
猟師の高齢化は進み、担い手は増えていません。
装備費用や制度の壁もあり、この仕事は簡単ではありません。
それでも地域の農業と自然、野生動物を含む生態系や環境を守るために必要な事業です。
命を無駄にせず、価値として循環させる。その考え方が、この事業の軸になっています。
シナのモノがたりより
現場で感じたのは、研究者としての冷静さと、現実を引き受ける覚悟の両方でした。
理屈だけではなく、手を動かし続けている人の言葉には、自然と説得力があります。
この商品は、単なるペットフードではありません。
地域の課題、命への向き合い方、それを支える仕組み。
そうした背景ごと選ぶ価値があると感じました。
肉を使ったペットフードは、高タンパクで栄養価が高く、安心して与えられる素材です。
日常にも、防災にも役立つ選択肢として広がっています。

合同会社生物資源利活用研究所が手がける商品を、一覧ページでご紹介しています。
気になった商品がありましたら、ぜひチェックしてみてください。